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ディーラー対戦型 テキサスホールデム
本ページでは、プレイヤーとディーラーが対戦する形態で行うテキサスホールデムについて、説明します。

テキサスホールデムは、コミュニティ カード ポーカー系で最もポピュラーなゲームです。本ページで説明するゲームの概要は、次の表のとおりです。
ゲーム分類 | テーブルゲーム・ポーカー |
ゲーム名 | テキサスホールデム(Texas Hold’em) |
ポーカーゲームのバリエーション体系 | コミュニティ カード ポーカー系(ホールデム系) |
ゲームの対戦形態 | プレイヤーとディーラーの対戦 |
対戦における駆引き(心理的要素) | なし |
説明のベースとなるゲームのルール | シンガポール Marina Bay Sund’s Casino Megalink Texas Hold’em Bonus Progressive *1 *2 † |
†:メガリンク(Megalink)とボーナスゲームについては、説明を省略しています。 |
ポーカーゲームで最もオーソドックスでなゲームは”プレイヤー対戦型のテキサスホールデム”と認識されている方はとてもも多いことでしょう。駆け引き伴ったゲーム進行は、ゲーム観戦者の目に、とてもカッコよく映ります。
プレイヤー対戦型のポーカーを楽しむプレイヤーからみると、このページで説明する ”ディーラー対戦型のポーカー” なんて邪道と思われるでしょう。
しかしながら、プレイヤー対戦型のポーカーへの参加はハードルが高く、初心者がいきなりテーブルに加わるのは、ほぼ困難です。
また、私にはハッタリをかますような駆け引きはできないという気弱な方も、プレイヤー対戦型のポーカーに参加するにはなかなかの度胸が必要です。
ディーラー対戦型でテキサスホールデムは、そんなプレイヤー対戦型のゲームになかなか参加できない方にお奨めのゲームです。
これからテキサスホールデムを始める方、プレイヤー同士の対戦でプレイすることに自信が持てない方は、まずディーラー対戦型でテキサスホールデムというゲームの経験を積み、駆け引き以外のゲームの要素をじゅうぶんに理解してから、プレイヤー対戦型にステップアップするのもよいのではないでしょうか。
目次
- Ⅰ.
- ゲームの基本ルール
- 1.1
- ゲームの参加者と対戦相手
- 1.2
- ゲームの概要
- Ⅱ.
- テーブルレイアウトと道具
- Ⅲ.
- ゲームの進行
- Ⅳ.
- 勝敗の判定と払戻
- Ⅴ.
- 戦略を考えるための参考情報
- Ⅵ.
- 参考資料
ゲームの基本ルール
ゲームの参加者と対戦相手
ディーラー対戦型 テキサスホールデムは、ディーラーとプレイヤーが1対1で対戦するテキサス ホールデムのゲームです。
ゲームは、専用のテーブルで行われます。テーブルの形状は、ブラックジャックやポンツーンと同様のまんじゅう型です。
テーブルには、1名のディーラーと1名以上のプレイヤー、多くの場合は数名のプレイヤーが集い、ゲームを行います。
プレイヤーは、他のプレイヤーと対戦したり、他のプレイヤーと協力してディーラーと対戦することはなく、ディーラーと1対1で勝負を行います。
テーブルに複数のプレイヤーが参加している場合、複数の対戦が同時進行で行われます。 勝負の「勝ち」・「負け」は、それぞれの対戦ごとに決まります。 すべてのプレイヤーが勝つこともあれば、1人のプレイヤーのみが負けることがあります。
プレイヤーは、自身のプレイが他のプレイヤーのプレイに影響を及ぼさないようにするために、自身に配られたカードを見るときは、他の人に見えないようにしなければいけません。
ゲームの概要
テキサスホールデムは、コミュニティ カード ポーカー系(ホールデム系) の代表的なゲームです。
ディーラーとプレイヤーには、それぞれに2枚のカードが配られます。この2枚のカードを、ホールカード(hole cards)といいます。ホールカードを、シンプルにハンド(hand:手札)という場合もあります。
ディーラーとプレイヤーは、それぞれに配られた2枚とホールカードと5枚のコミュニティーカードから、5枚を選択して、できるだけ強いカードの組合せを作ります。
ここでは細かなゲーム進行の説明は省略しますが、最終的に、ディーラーとプレイヤーは、選択した5枚のカードの役や、役を構成するカード以外のカード "キッカー(kicker)" を比較して、勝敗を決めます。
※ ゲーム進行の詳細は、本ページの「ゲームの進行」を参照してください。選択した5枚のカードを比較しての勝敗の決め方については、ポーカー共通ページの「ハンドの優劣と勝敗の判定」を参照してください。
テーブルレイアウトと道具
テーブルレイアウト
次のイラストは、ディーラー対戦型のテキサスホールデムのテーブルレイアウトの例です。このイラストのテーブルでは、7名のプレイヤーが同時にプレイすることができます。
1 アンティ ベッティング エリア: 参加料の意味合いで、参加者全員がゲームの最初に行う強制ベット ”アンティ(ante)” に賭けるチップを置きます。
2 フロップ ベッティング エリア: 最初の2枚のホールカード(hole cord)が配られた後、ゲームを継続するためのベット ”フロップ(flop)” に賭けるチップを置きます。
3 ターン ベッティング エリア: 最初の3枚のフロップコミュニティカードが配られた後、”ターン(turn)” に賭けるチップを置きます。
4 リバー ベッティング エリア: 4枚目のターンコミュニティカードが配られた後、”リバー(river)” に賭けるチップを置きます。
5 ディーラー ホール カード エリア: ディーラーに配られた2枚のホールカードを置きます。
6 フロップ カード エリア: 最初の3枚のコミュニティ カード ”フロップ カード” を置きます。
7 ターン カード エリア: 4枚目のコミュニティ カード ”ターン カード” を置きます。
8 リバー カード エリア: 5枚目のコミュニティ カード ”リバー カード” を置きます。
道具
テキサスホールデムでは、1ラウンドごとに、52枚のトランプ1セット(1デッキ)を使用します。ジョーカーのカードは、使用しません。
ゲームの進行
次のイラストで、ディーラー対戦型 テキサスホールデムのゲームの流れを確認することができます。
イラスト右下にある【ゲームを進める】ボタンをクリックすると、ゲームが進行して、イラストと説明が変化します。
勝敗の判定と払戻
5枚のカードの選択
すべてのカードをオープンした後、プレイヤー、ディーラーとも、2枚のホールカードと7枚のコミュニティーカードより、最も高い(強い)役となるカードを選択します。
※ 役の種類とランクについては、ポーカー共通ページの「役の種類とランク」を参照してください。
例えば、次の7枚のカードの場合、✔マークを付けた5枚のカードを選択することで、フルハウスの役を構成することができます。
次の7枚のカードの場合、が3枚ありますが、スリー オブ ア カインド(スリーカード)よりもフラッシュの方が高い(強い)ランクの役のため、✔マークを付けた5枚のカードを選択します。
次のような7枚のカードでは、先の例と同様に、5枚の選択でフルハウスを構成することができますが、と
の2種類の選択方法があります。
ポーカーでは、役だけでなく、カードの数字にもランクの高い(強い)、低い(弱い)が定義されています。が最もランクが高く(強く)、
が最もランクの低い数字です。
したがって、次の7枚のカードでは、のフルハウスとなる5枚のカードを選択します。
ちなみに、カードのスーツ(suit:マーク)には、ランクの高低(強弱)はありません。
選択した最も高い(強い)役が4枚以下のカードで構成される場合、残りのカードよりできるだけランクの高い(強い)数字のカードを選択し、合計5枚のカードとします。
例えば、次の7枚のカードの場合、スリー オブ ア カインド(スリーカード)を構成する3枚のカードと、よりランクの高い(強い)
のカードで、5枚のカードとします。
7枚のカードからの選択で役を構成できないハイカード(ノーペア)のときは、ランクの高い(強い)数字のカードより、5枚を選択します。
役がなくても、相手もハイカードの可能性がありますので、まだ望みはあります。
勝敗の判定
7枚のカードより最善の5枚のカードの選択を終えると、ディーラーの5枚のカードと、プレイヤーの5枚のカードを比較して、勝敗を判定します。
勝敗の判定は、通常のポーカーと同じです。詳細については、ポーカー共通のページの「勝敗判定の流れ」を参照してください。
払戻
プレイヤーが勝ったときに、プレイヤーに配当が支払われ、賭けたチップと配当が戻ってきます。配当が支払われる条件と配当は、次のとおりです。
賭けの種類 | 配当を受ける条件 | 配当 |
アンティへの賭け | プレイヤーがストレート以上で勝ち | 1 to 1(賭けた額と同額を払戻し) |
フロップへの賭け | プレイヤーが勝ち | 1 to 1(賭けた額と同額を払戻し) |
ターンへの賭け | プレイヤーが勝ち | 1 to 1(賭けた額と同額を払戻し) |
リバーへの賭け | プレイヤーが勝ち | 1 to 1(賭けた額と同額を払戻し) |
引分けのときは、賭けたチップが戻ってきます。
プレイヤーが負けたときは、賭けたチップはすべて没収されます。
戦略を考えるための参考情報
アンティを放棄して降りた方がよいホール カードの組合せは?
配られた2枚のホール カードを確認したとき、今回のゲームのハンドが強いハンドであるのか、弱いハンドであるのかを把握することができます。
ホール カードがものすごく弱いときは、アンティを放棄してゲームを降りるべきか、頑張ってフロップに賭けてゲームを継続するかを、悩むことになります。
ここでは、どのようなホール カードのときにアンティを放棄してゲームを降りるべきかを考えてみます。
● アンティを放棄して降りたときの損失
アンティに1枚のチップを賭けたとき、アンティを放棄すると、単純に賭けた1枚のチップを失います。
つまり、1ゲームあたりの損失は、1枚となります。
では、次に、アンティを放棄しなかったときに、損失が1枚以上となるホール カードは、どのようなカードの組合せであるかを確認します。
● アンティを放棄しなかったときの損失
今回はアンティを放棄すべきか否かの確認ですので、弱いハンドを持ったときの確認となります。
そのため、確認の前提として、損失を増やさないように、次のような最低限のチップを賭けることとして確認を行います。
前提条件:
・フロップには、アンティの2倍の2枚のチップを賭けます。(ルールどおり)
・ターン、リバーは、チェックして、追加のチップの賭けを行いません。
この条件で期待されるチップの増減は、次の表のとおりです。*3
A | K | Q | J | 10 | 9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | ||
A | US | 1.381 | 0.340 | 0.299 | 0.260 | 0.222 | 0.109 | 0.068 | 0.018 | ▲0.042 | ▲0.024 | ▲0.076 | ▲0.124 | ▲0.174 |
S | 0.469 | 0.431 | 0.394 | 0.359 | 0.253 | 0.215 | 0.169 | 0.114 | 0.130 | 0.083 | 0.039 | ▲0.007 | ||
K | US | 1.240 | 0.165 | 0.124 | 0.087 | ▲0.026 | ▲0.126 | ▲0.164 | ▲0.211 | ▲0.255 | ▲0.308 | ▲0.356 | ▲0.406 | |
S | 0.303 | 0.266 | 0.231 | 0.126 | 0.032 | ▲0.003 | ▲0.046 | ▲0.087 | ▲0.136 | ▲0.180 | ▲0.226 | |||
Q | US | 1.118 | 0.019 | ▲0.019 | ▲0.132 | ▲0.231 | ▲0.334 | ▲0.367 | ▲0.411 | ▲0.464 | ▲0.513 | ▲0.563 | ||
S | 0.166 | 0.130 | 0.024 | ▲0.068 | ▲0.164 | ▲0.194 | ▲0.235 | ▲0.284 | ▲0.329 | ▲0.374 | ||||
J | US | 0.998 | ▲0.104 | ▲0.220 | ▲0.320 | ▲0.422 | ▲0.524 | ▲0.554 | ▲0.607 | ▲0.656 | ▲0.706 | |||
S | 0.049 | ▲0.060 | ▲0.152 | ▲0.247 | ▲0.343 | ▲0.371 | ▲0.419 | ▲0.464 | ▲0.510 | |||||
10 | US | 0.878 | ▲0.289 | ▲0.391 | ▲0.493 | ▲0.596 | ▲0.699 | ▲0.737 | ▲0.786 | ▲0.836 | ||||
S | ▲0.126 | ▲0.221 | ▲0.316 | ▲0.411 | ▲0.508 | ▲0.542 | ▲0.588 | ▲0.633 | ||||||
9 | US | 0.729 | ▲0.461 | ▲0.561 | ▲0.663 | ▲0.766 | ▲0.881 | ▲0.915 | ▲0.964 | |||||
S | ▲0.286 | ▲0.380 | ▲0.475 | ▲0.571 | ▲0.678 | ▲0.709 | ▲0.755 | |||||||
8 | US | 0.582 | ▲0.610 | ▲0.712 | ▲0.814 | ▲0.929 | ▲1.043 | ▲1.077 | ||||||
S | ▲0.427 | ▲0.521 | ▲0.617 | ▲0.724 | ▲0.830 | ▲0.861 | ||||||||
7 | US | 0.435 | ▲0.744 | ▲0.846 | ▲0.960 | ▲1.074 | ▲1.191 | |||||||
S | ▲0.553 | ▲0.648 | ▲0.753 | ▲0.859 | ▲0.968 | |||||||||
6 | US | 0.287 | ▲0.861 | ▲0.973 | ▲1.086 | ▲1.203 | ||||||||
S | ▲0.663 | ▲0.767 | ▲0.872 | ▲0.980 | ||||||||||
5 | US | 0.139 | ▲0.950 | ▲1.060 | ▲1.176 | |||||||||
S | ▲0.746 | ▲0.848 | ▲0.956 | |||||||||||
4 | US | ▲0.030 | ▲1.121 | ▲1.234 | ||||||||||
S | ▲0.905 | ▲1.010 | ||||||||||||
3 | US | ▲0.201 | ▲1.283 | |||||||||||
S | ▲1.057 | |||||||||||||
2 | US | ▲0.373 | ||||||||||||
S | ||||||||||||||
A | K | Q | J | 10 | 9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 |
単位:枚、小数点以下第4位を四捨五入、US:unsuited = スーツ(マーク)違い、S:suited = スーツ(マーク)揃い 背景 :1.000枚以上、 :0.000枚以上・1.000枚未満、 無色:0.000枚未満、▲1.000枚より多い :▲1.000枚以下 |
表で、セルの背景色が青色の個所が、結果として期待されるチップがマイナス1枚以下のケースです。
2枚のホールカードのうち、ランクの高いカードが
以下で、ランクの低いカードが
または
のときに、期待値がマイナス1枚以下となる場合があります。
この情報より明確に言えることは、背景色が青色以外のケースでは、アンティを放棄せず、フロップに賭けた方がよいということです。
背景色が青色のときにアンティを放棄すべきかの判断は、あなたがターンおよびリバーのベットのときに、どれだけ正確にハンドの優劣を判断できるかにかかってきます。単純に判断できず、さらなる研究が必要です。
ホール カードだけの判断による期待値
「表:ホール カードより期待されるチップの増減」を見ると、チップ増減の期待値がマイナスのセルがかなり多いことに気づきます。
いったいホール カードだけの判断による期待値は、いくつぐらいなのでしょうか? あまりにも期待値が低いならば、ターンやリバーの検討は意味がなく、このゲームからは距離をおかなければいけません。
そこで、ホール カードだけの判断による期待値を求めてみました。*3 ホール カードだけの判断による最善の選択は、次のようになります。
・ホール カードより期待されるチップの増減が1枚以上のとき
フロップに賭けます。かつ、
勝率50%以上のケースばターン、リバーのすべてに賭けます。
・ホール カードより期待されるチップの増減が1枚未満のとき
フォールドし、アンティを放棄してゲームを終了します。
次の表は、上記の最善の選択を行うと、単純に「フロップに賭け、ターンとリバーに賭けない」という選択をしたときより、どれだけチップ増減の期待値が改善するかを示したものです。
賭けの選択 | チップ増減の期待値 |
フロップに賭け、ターンとリバーに賭けない | ▲ 0.392 枚/ゲーム |
+ 勝率50%以上はターンとリバーに賭ける | ▲ 0.228 枚/ゲーム |
+ 期待されるチップの増減が1枚未満はフォールド | ▲ 0.214 枚/ゲーム |
小数点以下第4位を四捨五入 |
計算の結果求められたホール カードだけの判断による期待値は、▲ 0.214 枚/ゲームでした。
「勝率50%以上のターンとリバーの賭け」と、「チップの増減が1枚未満のときのフォールド」の2つで、単純に「フロップに賭け、ターンとリバーに賭けない」ときより、1.78 枚/ゲームの改善がみられます。
さらに、ターンとリバーの賭け方をブラッシュアップすることで改善が見込まれることから、このゲームは研究次第でかなり楽しめそうです。
※ ホール カードより期待される勝率については、「テキサス ホールデム」のページの「ホール カードより予想される完成ハンドの強弱」を参照してください。
参考資料
*2:Gambling Regulatory Authority ( A Singapore Government Agency Website ), 『MEGALINK TEXAS HOLD’EM BONUS PROGRESSIVE (MBS) Game Rules Version 9』 ※MBS:Marina Bay Sands
*3:当サイト(ギャンブルアカデミー)調べ
最終更新日:2024年08月10日